最近、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、「PCR検査」というワードをよく耳にするようになりました。普段はあまり聞き慣れないと思いますが、基礎研究の幅広い分野で役に立っている技法です。
ここでは、イラストを使ってゆる〜く、PCRがどんなものなのか解説したいと思います。
PCRの原理
PCRとはポリメラーゼ連鎖反応 (polymerase chain reaction: PCR) の略で、さまざまなDNA分子の混合物の中から、目的のDNAだけを増幅させる技法です。今回の新型コロナウイルスの検査では、このウイルスのDNA配列の増幅について見ています。
PCRを始めるのに必要なものは、
- テンプレート (DNA検体)
- プライマー (複製の起点となる短い塩基配列)
- dNTP(複製の材料となる塩基)
- DNAポリメラーゼ (DNA合成装置)
これらを混ぜ合わせて、加熱、冷却を繰り返すことで、目的のDNAを増幅できます。
DNA合成の流れは、
- Denaturation 熱変性(2本鎖DNAを1本鎖に解離する)
- annealing アニーリング(プライマーが目的のDNA領域にくっ付く)
- extention 伸長(DNAポリメラーゼがプライマーの伸長を触媒し、DNA鎖をコピーする)
この3ステップです。
これを1サイクルとして通常20〜30サイクル繰り返します。
1サイクルで2^1のコピーが得られるので・・・
20サイクルで2^20、つまり100万コピーが合成されることになります😲
このように指数関数的に目的のDNA鎖が増大するので、20〜30サイクル後は試験管内の大部分を占めるようになります。
こうして、検出されたDNAの配列を調べ、目的遺伝子であったかどうか確かめます。
少しわかりにくいので、例えてみると・・・
テンプレートDNAが本だとします。
プライマーは目的の場所に目印をつけるしおりのようなもの。
しおりのついた場所をDNAポリメラーゼというコピー機がコピーします。
d NTPはコピーに使う紙のようなものですかね😅
出てきたコピーが目的の遺伝子情報と一致すれば、目的遺伝子が増幅されたということがわかります。
逆にわかりにくいかなぁ・・・😅泣
このプライマーは増幅したい目的遺伝子をもとに設計されているので、その目的遺伝子がテンプレート(DNA検体)上に存在しなければ、目印をつけることも出来ないし、コピーすることも出来ません。また、元々のテンプレート(DNA検体)量によってコピー数が変動することもあると思います。
ウイルス検査では、ウイルスの遺伝子でプライマーを設計しているので、たくさんコピーができると言うことは、体内にウイルス遺伝子が存在する=陽性であると判断できます。
PCR検査の精度
コロナウイルスの感染拡大の影響により、PCR検査の需要が高まってきています。用いられている検査では、より検出感度の高い「リアルタイムPCR法」で行われているそうです。リアルタイムに増幅をモニターでき、わずかなウイルス量でも可能なので、より迅速で精度の高い検査が期待できます。詳しくは、大阪大学微生物研究所の説明を参照。
しかし、稀にDNA合成の目印となるプライマーがちゃんとくっ付かなかったり、間違ったところにくっ付いたりする事もあります。うまく反応が起きない場合もあるので、検査結果を鵜呑みにするのは、あまり良くないです。
検査をして、陰性であることを確認したい気持ちもあると思いますが、PCR検査は不確定な要素も多いということを知っていただき、自分の命を守って頂きたいです。
今も最前線で戦ってくださっている医療関係の皆様に感謝しながら、早くこの状況が良くなることを祈り、できることをやろうと思います。